毒草トリカブトの見分け方をとことん解説してみる モミジガサとニリンソウ編

春になって来たところで、

トリカブトの見分け方をとことん解説したいと思います

ご存知の通り「トリカブト」は猛毒です

「ドクウツギ」「ドクゼリ」と並ぶ、日本三大有毒植物の一つです

でも、間違って食べると本当に死んでしまいます

そして、トリカブトは見つかりにくい野草ではなく、どこの登山道の脇でも、大量に生えていて、すぐに取ることが出来ます

どの山に入っても、あれもこれもトリカブトだと言うくらいたくさんあります

林野庁東北森林管理局

林野庁東北森林管理局撮影

トリカブトは、初夏から晩秋にかけて、特徴的な青紫色の鳥の頭のような花を咲かせます

厚生省HPによると、

トリカブトの致死量は2〜6mgで、口唇や舌のしびれに始まり,次第に手足のしびれ,嘔吐,腹痛,下痢,不整脈,血圧低下などをおこし,けいれん,呼吸不全に至って死亡することもある

とあります

また、食後 10分~ 20分 以内に発症することが多い即効性の毒です

2mgというと、塩1粒 が0.1 mgなので、塩20粒くらい

少量でも致死量に至ります

発生事例

(1)2009年4月下旬に,札幌在住の高齢者夫婦がニリンソウ間違っておひたしにして食べ,全身あるいは下半身がしびれる中毒症状をおこした。

(2)2009年4月上旬に,新潟県上越市でモミジガサ間違って採集されたトリカブトを親戚から貰い受け,おひたしで食して家族2名が中毒した。

(3)2005年4月下旬に,青森県で20~70代男女6人がニリンソウと間違ってトリカブトを食して中毒し,70歳代の男性が死亡した。

2009年から2013年までにおいて、誤食で20人が中毒患者となり、そのうち2人が死亡しています

上記患者数からは、10%程度が死亡すると言えそうです。幸いにも、毒に即効性があるため、口唇や舌のしびれに始まる時点で気づくことが出来るようです

しかし、致死率10%・・・日常生活ではまずお目にはかかれない数値だと思います

さすが、アイヌで毒矢の原料として使われていただけあります

本題「間違わないトリカブトの特徴と見分け方」

まず、これを読まれている方は、観賞用ではなく、食用として山菜摘みに山に入ろうとしていると思います

時期としては、3月後半の冬が終わるころから、5月中旬まで

どこで聞いたか忘れましたが「山菜は、桜に始まり藤に終わる」と言いますので、大体の地方が、この5月中旬をめどに山菜のシーズンは終了します

そこで、トリカブトの見分け方も、この季節に限定した「間違いやすい野草」を認識することが大切です

夏は「トリカブトに似た山菜」を取りには行きませんからね

つまり、先の例で示した、「モミジガサ」と「ニリンソウ」を区別できれば、取り違えることはまずありません

山菜の誤食事例が多い秋田県の有毒植物による食中毒(秋田県・平成元年以降)の複数事例においても、「採取したモミジガサ(シドケ)にトリカブトが混入」3件、「トリカブトをニリンソウ(フクベラ)と誤認採取」2件が誤食の原因とされています

「トリカブトとニリンソウの違い」

トリカブトとニリンソウの違いを説明します

この2つの区別は非常に困難です

花が咲くまでは断定ができません

東北と信州のニリンソウの葉っぱには、常に白いポツポツがついていて、

トリカブトには白い点がありません

関東のニリンソウの葉っぱには白い点がない葉をよく目にしますが、野草も人間と同じで、個体差があります。表面上の模様が異なる葉っぱがあったとしても、おかしくはありません

下の写真がニリンソウとトリカブトです。混生して咲いています。

葉っぱでは、分かりませんよね

白い花がついている葉がニリンソウです(二輪つきます)

ニリンソウ

薬用植物園

ただし、葉色や堅さの違いは、日当たり場所により変わります

ニリンソウもトリカブトも同じキンポウゲ科です

つまり、この両者では、葉の違いでの識別は困難だと言えます。違いが判る方もいるとは思いますが、食用にするものにしては大変リスキーです

ですので、ニリンソウを摘みに行くときには、周囲にはトリカブトが混生しているものと考えて、白い二輪の花をつけたもの(つけた時期)だけを摘みます

ニリンソウ

ニリンソウ

夏の前後時期にトリカブトの中毒患者が発生していないのは、この花さえ咲いていればだれでも見分けがつくからです

しかし、基本的はニリンソウは採取しない方がよいと思います

「キンポウゲ科は採らない」ことが山菜採りにとっては安全だと思います

「トリカブトとモミジガサ(東北ではシドケ)の違い」

次にトリカブトとモミジガサの違いを説明します

モミジガサ(シドケ)は、とてもおいしい山菜です。シドケは、独特の香りを持っていて、少しの苦みがあり、シャクシャクした歯触りです

あきた森づくり活動サポートセンター

モミジガサ

また、モミジガサは山菜の女王とも言われます。(コシアブラを女王という地方もあります。ちなみに王様はタラの芽)

おひたしが非常に美味しいと思います。苦みが気になる方は天ぷらでも

山菜は、あくが強く匂いがきついものが多いのですが、天ぷらにすることで随分食べやすくなります

シドケ あきた森づくり活動サポートセンター

モミジガサ

主な栄養は、カロチン(キャベツの10倍)

鉄分(ホウレン草の約4~5倍)

ビタミンC

岩手大学の農学部では、「山菜のシドケに抗がん物質を発見した。」と発表しています

秋田地方では、シドケの味をシュワシュワした味と表現しますが、食べてみないと表現しようがない味です

モミジガサ

モミジガサ 薬用植物園

 

着目する部分は葉の出方

下図は若葉の芽生えの頃

若葉の頃は薄い毛が生えています。そして、大きくなっても葉の出方は同じです

大きな丸い中心から、手のひら状に葉が広がっていることが分かります

モミジガサ 東京都薬用植物園

モミジガサの若芽

一方トリカブトは、1本の棒の中心点から、突然ばらばらに複数に裂けた葉が飛び出します

トリカブトの葉

トリカブト

つまり、モミジガサ(シドケ)は、なめらかでまあるく掌状に分かれていて、先端はギザギザにならずカエデのようです

一方、トリカブトは、中心から葉が分かれていて、先端もギザギザで堅そうに分かれます

分かりやすく、絵にしてみます

絵 トリカブトとモミジガサ

但し、ハクサントリカブトとイブキトリカブトは、モミジガサの切り込みに近いので、一度調べてみてください

長文になりましたが、以上です

ニリンソウを摘んでみたい方には、お薦めしないので少々がっかりかも知れません

でも、もしニリンソウを摘んだとしても、自信がなかったら、根っこごと採取してください

ニリンソウの根は横に伸びています。トリカブトの根は、しょうがのようにふっくらとして下についています。

モミジガサ(シドケ)を摘んでみたい方は、案外簡単に見分けられたのではないでしょうか

ですが、すこしでも迷ったらすぐに捨ててください。山菜は生死をかけるほど、価値があるものではありません

くれぐれも、トリカブトは安易に識別する野草ではありませんので、万全の注意と知識と、玄人を同行して山菜取りに臨んでください

ありがとうございました。

*2017春 最近 小さいモミジガサの写真を撮りました

毛だらけなのが、とても良く分かります

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