レース鳩の凄さが分かる!鳩の潜在能力と歴史

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レース鳩をご存じでしょうか。

流行っていたのはもう何十年も前のこと。ほとんどの人は、レース鳩という単語を耳にしたことがある程度のはず。

でも、私は見つけました。たまたま通勤電車の窓から。

ぎゅうぎゅう詰めの満員電車の中から、中央線中野体育館方面のビルの屋上で旗をブンブン振っている人影が見えます。

よく見ると、その人の周りには黒い点々の影が、これまた猛スピードでビルの屋上を周回しています。

これが昔、おじさんたちが夢中になったという、あの「鳩レース」の鳩たちです。

相当な数です。100羽はいるように見えます。

ぐるぐるぐるぐると空中を周り続ける鳩たち。

電車から見るその光景はあっという間に過ぎ去り、鳩と人影は点になって消えていきます。

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満員電車で新宿のビル街に向かう通勤客と、木の棒と旗を振って生き物を扱う人間に、異なる時間を生きているようなノスタルジアを感じます。

調べてみると、この鳩たちについて、たくさんのことが分かりました。

まず、この鳩たちは特別な血統を持っているということ。

レース鳩は、馬のサラブレッドと同様に、レース用の血を古代から代々と受け継ぎ、優秀な血統から強い個体を生み出しています。

2013年のレース鳩のオークションでは、中国人のビジネスマンがレース鳩を4100万円で落札しました。

1羽の値段です。鳩の名前は「ボルト」。お父さんもおじいさんも大会優勝者。

お母さんも3度の優勝者。ロリスという兄弟も2500羽中1位の優勝者。お母さんの兄弟の「ヤーン」もキエブラン6度の優勝者。

紹介しきれないほど優秀な血統であることが分かります。

レース鳩は、日本においては昔の趣味という印象を受けます。

しかし、このオークション価格をみると、レース鳩の市場は今も商業的に価値があり、健在であることをうかがわせます。

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では、これらのレース用の鳩には、どのような遺伝子が求められているのか。

鳩のレースは、離された地点から、いかに早く自分の巣に戻ってくるかを競います。

放鳩(ほうきゅう)地点から、各自の鳩を飼育している鳩舎(きゅうしゃ)までの距離を測定し、鳩が帰るのに要した時間で割り、1分間のスピード(分速)を算出して比較します。

時間は、鳩の足に時間を測定出来る機械を入れたゴム輪をはめて記録します。

そう、鳩のレースは鳩の帰巣(きそう)本能を利用しているのです。

スピードは、分速で表されます。

2015年の西日本新聞によると、長崎県の五島市をスタートし、1117キロメートル離れた新潟県に到着したとき、最高分速1726メートルを記録したそうです。

信じられないことに、時速に直すと約103キロです。

もし、公園にいる鳩たちが、時速100キロでエサを取りに集まって来たら恐怖です。

さらに、レース鳩は、見た目も普通のハトとは異なります。

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早く飛翔するために肩の筋肉は盛り上がり、足は太く力強く、遠くを見通せる大きな目を持ちます。

アスリートとして、強健でしなやかな身体を持っているのです。

公園にいるドバトとスピード競技に改良された鳩では、血統が違うとはいえ、鳩という生き物の潜在能力に驚くばかりです。

鈍重なカモメの世界から1人離れ、スピードを追求し、最後には光の中に消えていった「カモメのジョナサン」のような鳩がいてもおかしくはないわけです。

さて、国内の鳩レースは、「一般社団法人日本鳩レース協会」が主催しています。協会は、東京都台東区上野駅のすぐそばにあり、国内のレースを主管しています。

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面白いことに、国内の大会において、かたや分速1333メートル(時速80キロ)で優勝する鳩もいれば、分速186メートル(時速11キロ)で帰ってくる鳩もいます。

どうひいき目に見ても、道草を食いすぎな感じがします。

それだけでなく、なんと次の日にようやく帰還してくるツワモノもいます。随分と迷子になっていたようです。

しかし、200キロ以上離れた地点から、一斉に放たれた500羽を超える鳩たちが、それぞれの鳩舎(きゅうしゃ)を目指して羽ばたいて行く道中には、人間には分からない様々なドラマが存在しているのかも知れません。

なにせ鳩たちは、行ったことのない土地から、道のない道を切り開いて帰るしかないのですから。

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何百キロもの長距離レースともなると、休むところのない海をわたり、強風の吹きすさぶ急峻な山を越えて家に帰らなければなりません。

しかも、レース鳩は飼い主が与えたエサしか食べないため、レース中に食べ物を口にすることも、糞をすることもないそうです。

この鳩の帰巣(きそう)本能による帰還方法は様々な学説があり、いまだ明確な証明はされていません。

体内の磁気を感じ取る器官により、帰る方角がわかる 「磁気説」。

離された地点の太陽と巣のある地点の太陽の位置のズレにより、帰還方向がわかる「太陽コンパス説」等々色々あります。

いずれにせよ、この鳩たちは急いで家に帰りたいのです。

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ですが、見知らぬ土地から一斉に放たれれば、すぐには帰れない鳩も出てきます。

民家で休んでいるところを保護されたり(足の輪には電話番号が書いてあります)、帰るのをあきらめて公園でドバト化する鳩もいるそうです。

もし、皆さんの周りで足に輪をしている鳩を見かけたら、それはレース中のレーサーか、一般鳩に戻った鳩かも知れません。

奥が深いレース鳩の世界でした。

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