天皇陛下「お気持ち」の言葉の意味 明治時代の「勅語」や「おことば」との違い

2016.8.8 15時

天皇陛下による「お気持ち」が、宮内庁が撮影したビデオメッセージという形で放映されました。

これは、2011年東日本大震災後に、国民にお気持ちを表明して以来となります。

NHKによる全文は、おわりに掲載してあります。

宮内庁の専門用語

その前に一つ疑問を持ったのですが、

あれ?「お気持ち」って、

天皇陛下からお言葉を賜るのに、随分簡単な日本語のような気が・・・

皇室の専門用語には、このような特別なお気持ちを天皇陛下より発せられるときには、

「お気持ち」や「おことば」以外にも、特別な用語があった気がします。

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そこで、調べてみると

宮内庁の専門用語には、以下のような言葉がありました。

【お出ましに関する用語】

行幸(ぎょうこう)
天皇が外出されること。
還幸(かんこう)
天皇が行幸先からお帰りになること。
行幸啓(ぎょうこうけい)
天皇・皇后がご一緒に外出されること。
還幸啓(かんこうけい)
天皇・皇后がご一緒に行幸啓先からお帰りになること。
行啓(ぎょうけい)
皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃が外出されること。
還啓(かんけい)
皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃が行啓先からお帰りになること。
お成り(おなり)
天皇・皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃以外の皇族方が外出されること。
ご帰還(ごきかん)
天皇・皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃以外の皇族方がお成り先からお帰りになること。

それでは、

天皇皇后両陛下が、国民に向けて発せられたお気持ちやお言葉は、宮内庁ではなんと記録されているのでしょうか?

【お言葉・記者会見】

  • 天皇皇后両陛下のおことばなど
  • 天皇皇后両陛下の記者会見など

普通ですね・・・

たしか記憶の中にある特別な用語は・・

『勅語』 (ちょくご)

調べてみると、確かに辞書には

「勅語」という言葉が有ります。

しかし現在、天皇陛下の「おことば」は使って良いが、勅語は使ってはならないそうです。

明治時代

勅語は、確かに明治時代には、天皇陛下より発せられたおことばでした。

では、どうして勅語は、使われなくなったのか?勅語と聞いて思い出すのは、「教育勅語」という言葉です。

辞書によると教育勅語とは、「明治天皇の名のもとに、明治23年(1890)に発せられた「教育ニ関スル勅語」のこと」

を指します。

これは、「教育の根本を皇祖皇宗の遺訓に求め、忠孝の徳を国民教育の中心に据えた。」ものです。

簡単に言えば、歴代天皇が確立してきた国家と道徳というものを、明治天皇が国民に語りかけたことです。

この中には、勉強する事の大切さ、親子兄弟等の家族の大切さ、そして、法を守る心など12の道徳が記されています。そこで、これらの大切なことを国民と共に守っていきましょう。と天皇陛下が誓われたのが、教育勅語です。

具体的に12の項目とは

  1. 親に孝養をつくしましょう
  2. 兄弟・姉妹は仲良くしましょう
  3. 夫婦はいつも仲むつまじくしましょう
  4. 友だちはお互いに信じあって付き合いましょう
  5. 自分の言動をつつしみましょう
  6. 広く全ての人に愛の手をさしのべましょう
  7. 勉学に励み職業を身につけましょう
  8. 知識を養い才能を伸ばしましょう
  9. 人格の向上につとめましょう
  10. 広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう
  11. 法律や規則を守り社会の秩序に従いましょう
  12. 正しい勇気をもって国のため真心を尽くしましょう

出典wikibooks

このように、道徳や国家の思想など、教育の基本理念を示したものなので、教育勅語と言われます。

GHQ

とても大切なことが記されていたものですが、敗戦の結果、GHQによりこの勅語は廃止されます。

GHQ側からすれば、軍国主義的に映るものは、全て廃止する、否定する方針だったのでしょう。

そして、現在も、天皇陛下の「おことば」には、「勅語」は使われません。

「お気持ち」

本日の公表では、天皇陛下の発せられる言葉は、「お気持ち」になります。

東北地方の震災に際しては、停電に伴い様々な困難な思いをしている被災者と気持ちを分かち合いたいとして、天皇陛下の「お気持ち」を公表されました。

その結果、

御所内においても、計画停電の開始に伴い電力使用を停止する。

また、当分の間、宮殿を閉鎖する。などの処置がとられました。

一般参賀

「おことば」

新年の一般参賀などの公式行事で発せられるものは、「おことば」になります。

例えば 28年新年一般参賀

『穏やかな新春を迎えました。皆さんと共に新しい年を祝うことを誠に喜ばしく思います。本年が国民一人ひとりにとり,安らかで良い年となるよう願っています。年頭に当たり,我が国と世界の人々の平安を祈ります。』

東日本大震災5周年追悼式

『東日本大震災から5年がちました。ここに一同と共に,震災によって亡くなった人々とその遺族に対し,深く哀悼の意を表します。』一部抜粋

これらが「おことば」です。

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おわりに

本日の「お気持ち」

この天皇陛下の「お気持ち」を知り、それが端となり宮内庁として、政府として、実施すべきことが決まります。

とても長い間、常に国民目線でその任にあたられた天皇陛下。そのお気持ちもまた、国民と共に歩むものだったのだと感じます。

「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示している天皇陛下は、8日、ビデオメッセージでお気持ちを表しました。

天皇陛下「お気持ち」表明(全文)8月8日15時00分

象徴としてのお務めについての天皇陛下お言葉

戦後七十年という大きな節目を過ぎ、二年後には、平成三十年を迎えます。
私も八十を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。


本日は、社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として、これまでに考えて来たことを話したいと思います。

即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。

伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、更に日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています。

そのような中、何年か前のことになりますが、二度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。

既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。

私が天皇の位についてから、ほぼ二十八年、この間私は、我が国における多くの喜びの時、また悲しみの時を、人々と共に過ごして来ました。

私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。

天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。

こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。

皇太子の時代も含め、これまで私が皇后と共に行って来たほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井(しせい)の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。

天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。

また、天皇が未成年であったり、重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には、天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。

しかし、この場合も、天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。


天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。

更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ二ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、一年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。

始めにも述べましたように、憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。

そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。

  国民の理解を得られることを、切に願っています。

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NHKnews

用語参考 NHK放送文化研究所の刊行資料を復刻した探検コムさんの皇室用語辞典

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